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(派遣先の責務3)派遣受入期間の制限の適切な運用

 派遣先は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務(一部の業務を除く。)について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けることはできません(労働者派遣法第40条の2)。

(1)派遣受入期間の制限を受ける業務の範囲

 派遣先は、次の①から⑤までの場合を除いて、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間((5)により意見聴取を経て3年以内の派遣受入期間が定められている場合はその定められた期間、それ以外の場合は1年)を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません。

① 次の(ⅰ)又は(ⅱ)に該当する業務であって、その業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものとして令5条の業務

  • (ⅰ) その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務
  • (ⅱ) その業務に従事する労働者について、雇用形態の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務

② 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって3年以内に完了することが予定されているもの(「有期プロジェクト業務」)

③ その業務が1か月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、月10日以下である業務(「日数限定業務」)

  • (ⅰ)「通常の労働者」の所定労働日数とは、原則として、派遣先のいわゆる正社員の所定労働日数が「通常の労働者」の所定労働日数に該当します。ただし、派遣先の正社員の方が少数である場合には、労働者派遣を受け入れようとする業務が属する事業場その他派遣就業の場所に、主として従事する労働者の所定労働日数を、「通常の労働者」の所定労働日数とします。したがって、例えば、正規の従業員が約2割の場外馬券売場の事業場で、所定労働日数が月8日の有期雇用の労働者が主として従事する馬券販売の担当部門において、日数限定業務として派遣受入期間の制限なしに労働者派遣を受けようとする場合には、「通常の労働者」の所定労働日数は、月8日となります。
  • (ⅱ)「相当程度少なく」とは半分以下である場合をいいます。したがって、例えば、通常の労働者の所定労働日数が月20日の場合には、月10日以下しか行われない業務が対象となります。
  • (ⅲ)日数限定業務に該当するためには、その業務が、通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下しか行われない業務であることが必要です。したがって、「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10 日以下」を超える日数行われている業務を分割又は集約し、その一部を「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」となる範囲において派遣労働者に従事させ、他の日は派遣先に雇用されている従業員のみで対応するような場合は、日数限定業務には該当せず、派遣受入期間の制限を受けることとなる。(例えば月15日発生する業務について分割し、月10日間を派遣労働者に従事させ、残りの月5日間を派遣先に雇用されている従業員に行わせるような場合は、その業務は月15日間行われていることから、日数限定業務に当たりません。)また、「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」を超える日数行われている業務について、繁忙対策として、業務量の多い日のみ派遣先に雇用されている従業員に加え派遣労働者にも従事させるような場合も、日数限定業務には該当せず、派遣受入期間の制限を受けます。
  • (ⅳ)なお、日数限定業務に該当する業務としては、例えば、書店の棚卸し業務や、土日のみに行われる住宅展示場のコンパニオンの業務が想定されています。

④ 産前産後休業及び育児休業、並びに産前休業に先行し、又は産後休業若しくは育児休業に後続する休業であって、母性保護又は子の養育をするための休業をする場合における労働者の業務(則第33条)

⑤ 介護休業及び介護休業に後続する休業であって、対象家族を介護するためにする介護休業をする場合における労働者の業務(則第33条の2)

 なお、④及び⑤の業務については、休業に入る労働者が従事していた業務を、休業に入る前に派遣労働者に対して引継ぎを行う場合及びその業務に従事していた派遣労働者が、休業を終えてその業務に復帰する労働者に対して引継ぎを行う場合は、必要最小限の時間である限り、④及び⑤の業務に含めて差し支えありません。

 上記の①に該当する業務であっても、①から⑤までに掲げる業務以外の業務を併せて行う労働者派遣の場合は、派遣受入期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません。

 ただし、①から⑤の派遣受入期間の制限がない業務の実施に伴い、付随的に①から⑤以外の派遣受入期間の制限のある業務を併せて行う場合であって、かつ、派遣受入期間の制限がある業務の割合が通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数で1割以下の場合には、全体として派遣受入期間の制限を受けない業務として取り扱って差し支えありません。

 なお、この場合には、労働者派遣契約において、それぞれの業務の内容及びそれぞれの業務の通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数又はその割合を定める必要があります。また、派遣先は上記の制限を遵守するため就業時間の管理を的確に行う必要があります。

(2)派遣受入期間の制限の適切な運用

 派遣先は、労働者派遣法第40条の2の規定に基づいて、常用雇用労働者を派遣労働者によって代替することを防止するため、次の基準に従って、事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けることはできません(労働者派遣法第40条の2)。

 「事業所その他派遣就業の場所」については、課、部、事業所全体等、場所的に他の部署と独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断されます。

 「同一の業務」については、労働者派遣契約を更新して引き続き労働者派遣契約に定める業務に従事する場合は同一の業務にあたると考えられます。

 上記のほか、派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務であるとみなされます。
 なお、この場合の最小単位の組織としては、業務の内容について指示を行う権限を有する者とその者の指揮を受けて業務を遂行する者とのまとまりのうち最小単位のものをいいます。例えば、係や班のほか、課、グループなどがありますが、これは名称にとらわれることなく、実態によって判断されます。

 ただし、派遣労働者の受入れに伴って、係や班などを形式的に分ける場合、労働者数の多いなどの管理上の理由で係や班等を分けている場合、係や班等の部署を設けていない場合でも就業の実態等からこれらに該当する組織で行われる業務については、同一の業務であるとみなされます。

 偽りその他不正の行為により労働者派遣の役務の提供を受けている又は受けていた係や班等の名称を変更したり、又は組織変更を行ったりするなど、従来の係や班等とは異なる係や班等に新たに労働者派遣の役務の提供を受けたり、又は受けようとする場合には、同一の業務について労働者派遣の役務の提供を受け、又は受けようとしているものと判断されます。

 「同一の業務」にあたるかどうかの判断の具体例は次のとおりです。

組織の最小単位(係や班等)内で異動
仮に隣の机に変わった場合でも、それが同じ係や班の中の業務であれば、表面上は違った仕事に見えても「同一の業務」として規制されます。
1つの係で庶務的な業務と営業事務補助の業務をしている場合に、派遣労働者が営業事務補助の業務で派遣されてきて、3年経ったので隣の人が行っていた庶務的な業務も併せて行うことはありえますが、こうしたものは期間制限違反として禁止されます。同様に、3年経ったので営業事務補助の業務での派遣就業を終了し、隣の人が行っていた庶務的な業務での派遣就業をすることも期間制限違反として禁止されます。
1つの係で庶務的な業務と営業事務補助の業務をしている場合に、派遣労働者が営業事務補助の業務で派遣されてきて、3年後にその業務が消滅し、隣の人が行っていた庶務的な業務に移ることも期間制限違反として禁止されます。
組織の最小単位を超えた異動
基本的には「係」、「班」等場所が変われば「同一の業務」とは解釈されず、違った労働者派遣が受けられます。
例えば、類似の業務が多く、いくつかの班に管理上便宜的に分けているに過ぎない場合には、実態を見て「同一の業務」かどうかが判断されます。
班を越えても、労務管理の便宜上、特定の管理者の管理の範囲を超えるので班を3つから5つに増やした場合に、ある班にいた派遣労働者が同様の仕事を別の班に移って行うことは「同一の業務」と解釈されます。
組織の最小単位の名称(プロジェクトの場合)
企業では中間管理職の排除や組織のフラット化が進行していることから、係や班というのはあくまで例示であって、基本的には、同種労働を行って企業を支えている最小の企業組織が「同一の業務」であるかの判断のポイントになります。
単に名前がプロジェクト・チームであっても実際には恒常的な係や班だということになれば、「同一の業務」の規定の適用を受けます。
派遣就業中に組織を再編した場合
1つの係が2つに分かれてその係が実質的に違った業務を行っているというような再編成であれば「同一の業務」といえない場合もあります。一方、形式的に分けた場合であれば、「同一の業務」を相変わらず行っていると判断されます。


 労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合に、その新たな労働者派遣とその新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣との間の期間が3か月を超えないときは、派遣先は、その新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなされます。

 派遣受入期間の判断は、継続していると判断される最初の契約の始期から最後の契約の終期までの期間により行います。

 なお、ここでいう事業所とは、雇用保険法等雇用関係法令における概念と同様のもので、出張所、支所等で、規模が小さく、その上部機関等との組織的関連ないし事務能力からみて一の事業所という程度の独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所と取り扱われます。

(3)派遣受入期間の設定方法等

 派遣受入期間の制限は、次のとおりです(労働者派遣法第40条の2第2項)。

  1. 次の「1年を超え3年以内の期間継続して役務の提供を受けようとするとき」によって労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間が定められている場合・・・その定められている期間
  2. A.以外の場合・・・1年

1年を超え3年以内の期間継続して役務の提供を受けようとするとき

 派遣先は、派遣先の事業所その他の派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から1年を超え3年以内の期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けようとするときは、あらかじめ、次の手続きによって、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を定めなければなりません(労働者派遣法第40条の2第3項)。

(手続き)
 派遣先は労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者に対して、その期間を通知し、その意見を聴く必要があります(労働者派遣法第40条の2第4項)。

 なお、意見を聴く手続は、次の方法で行います。

(A)意見聴取の際に、過半数組合等に次に掲げる事項を書面により通知すること。

  1. 労働者派遣の役務の提供を受けようとする業務
  2. 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を新たに定める場合は、その業務に労働者派遣を受けようとする期間及び開始予定時期(労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を変更する場合は、変更しようとする期間)

(B)派遣先は、その派遣受入期間を定める場合、次の事項を書面に記載して、労働者派遣の終了の日から3年間保存しなければなりません。

  1. (A)によって、意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名
  2. (A)によって、過半数組合等に通知した事項と通知した日
  3. 過半数組合等から意見を聴いた日とその意見の内容
  4. 意見を聴いて、(A)の2.の労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間又は変更しようとする期間を変更したときは、その変更した期間

(C)過半数代表者は、以下のいずれにも該当する者である必要があります。

  1. 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
  2. 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に関する意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続によって選出された者。

 派遣先は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。

 なお、「投票、挙手等」の方法は、「投票、挙手」のほか、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が代表者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続をいいます。

労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に係る意見聴取の適切かつ確実な実施

 派遣先は、労働者派遣法第40条の2第4項の規定に基づいて、派遣先の事業所の過半数組合等に対して、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間について意見を聴く場合、その期間等を過半数組合等に通知してから意見を聴くまでに、十分な考慮期間を設ける必要があります。

 また、派遣先は、過半数組合等から、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間が適当でない旨の意見を受けた場合には、その意見に対する派遣先の考え方を過半数組合等に説明すること、その意見を勘案して労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間について再検討を加えることなどによって、過半数組合等の意見を十分に尊重するよう努める必要があります。

その他

 意見聴取は、派遣を受け入れようとする業務ごとに行う必要がありますが、一時に複数の業務についてまとめて意見聴取を行うことは差し支えありません。

 意見聴取を行う時期は、1年を超える派遣を受け入れようとする業務の発生が事前に見込まれる場合には、派遣の受入れ日に近接した時点でなくとも、事前に意見聴取を行っておくことも可能です。

 また、1年以内の派遣受入期間の予定で派遣の受入れを開始した後に、過半数労働組合等からの意見聴取を行って、1年を超える派遣期間を定めることも可能です。

 なお、意見聴取にあたっては、派遣先は、十分な考慮期間を設けた上であれば、過半数組合等の意見の提出に際して期限を設けることができます。
 その期限までに意見が出ないときは意見がないものとみなす旨、過半数組合等に事前に通知した場合は、そのように取り扱って構いません。

(4)派遣受入期間の制限の適切な運用のための留意点

 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者(派遣先)は、派遣受入期間の制限を受ける業務について派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づいて労働者派遣の役務の提供を受けようとするときは、労働者派遣契約の締結にあたって、あらかじめ、派遣元事業主に対して、労働者派遣の役務の提供が開始される日以後その業務について派遣受入期間の制限に抵触する最初の日を通知しなければなりません。

 また、派遣元事業主は、その通知がないときは、その者との間で、労働者派遣契約を締結することはできません。

 派遣先は、労働者派遣契約の締結後に、1年を超え3年以内の期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けようとするときは、その労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を定めたとき又はこれを変更したときは、速やかに、派遣元事業主に対して、その業務について派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を通知しなければなりません(労働者派遣法第40条の2第5項)。

 なお、上記の通知については、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者又は派遣先から派遣元事業主に対して、通知すべき事項を記載した書面の交付、ファクシミリを利用してする送信、電子メールの送信をすることによって行う必要があります。

(5)派遣受入期間の制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けた場合の取扱い

 厚生労働大臣は、派遣受入期間の制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けている者(派遣先)に対して、労働者派遣法第48条第1項の規定による指導又は助言をしたにもかかわらず、その者がなお、その期間の制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けている場合は、その者に対して、その派遣就業を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告することができます(労働者派遣法第49条の2第1項)。

 また、厚生労働大臣は、派遣受入期間の制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けており、かつ、その労働者派遣の役務の提供に係る派遣労働者がその派遣先に雇用されることを希望している場合、その派遣先に対して、労働者派遣法第48条第1項の規定によって指導又は助言をしたにもかかわらず、その派遣先がこれに従わなかったときは、その派遣労働者を雇い入れるよう勧告することができます(労働者派遣法第49条の2第2項)。

 厚生労働大臣はこれらの勧告をした場合、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができます(労働者派遣法第49条の2第3項)。

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