(派遣元の責務8)就業条件等の明示 of 労働者派遣法のポイント

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(派遣元の責務8)就業条件等の明示

 派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対して、労働者派遣をする旨、その派遣労働者に係る就業条件、派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を明示しなければなりません(労働者派遣法第34条)。

明示すべき就業条件等

明示すべき具体的就業条件等

 具体的には、労働者派遣契約で定めた次に掲げる事項のうちその契約によって労働者派遣される個々の派遣労働者に係るものを明示しなければなりません(労働者派遣法第34条)。

  1. 派遣労働者が従事する業務の内容
  2. 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所
  3. 派遣先のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
  4. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
  5. 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
  6. 安全及び衛生に関する事項
    • 派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関する事項(危険有害業務の内容)等の労働者派遣契約において定めた安全及び衛生に関する事項
  7. 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
  8. 派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
  9. 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあっては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項として以下の事項
    • 紹介予定派遣である旨
    • 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される労働条件
      • 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
      • 労働契約の期間に関する事項
      • 就業の場所に関する事項
      • 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
      • 賃金の額に関する事項
      • 健康保険法による健康保険、厚生年金保険法による厚生年金、労働者災害補償保険法による労働者災害保険及び雇用保険法による雇用保険の適用に関する事項
    • 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、それぞれのその理由を、派遣労働者の求めに応じ、書面、ファクシミリ又は電子メール(ファクシミリ又は電子メールによる場合にあっては、当該派遣労働者が希望した場合に限る。)により、派遣労働者に対して明示する旨
    • 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合はその旨
  10. 派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日
  11. 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
  12. 派遣先が4.の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は5.の派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めを労働者派遣契約において行った場合には、派遣就業させることができる日又は延長することができる時間数
  13. 派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項
    • 派遣元事業主及び派遣先との間で、派遣先が派遣労働者に対し、診療所、給食施設等の施設であって現に派遣先に雇用される労働者が通常利用しているものの利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与、教育訓練その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、その便宜の供与に関する事項についても記載する必要があります。
  14. 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項
    • LinkIcon令5条の業務」について労働者派遣を行う場合は、併せて同業務の条番号及び号番号を必ず記載する必要があります。
    • 派遣受入期間の制限を受ける業務の②有期プロジェクトの業務について労働者派遣を行うときは、労働者派遣法第40条の2第1項第2号イに該当する旨(事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であつて一定の期間内に完了することが予定されている旨)を記載する必要があります。
    • 派遣受入期間の制限を受ける業務の③日数限定業務について労働者派遣を行うときは、①労働者派遣法第40条の2第1項第2号ロに該当する旨(その業務が一箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務に該当する旨)、②派遣先において、同号ロに該当する業務が1か月間に行われる日数、③派遣先の通常の労働者の1か月間の所定労働日数を記載する必要があります。
    • 派遣受入期間の制限を受ける業務の④育児休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名、業務、休業の開始日、終了予定日を記載する必要があります。
    • 派遣受入期間の制限を受ける業務の⑤介護休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名、業務、休業の開始日、終了予定日を記載する必要があります。

※ 派遣受入期間の制限を受ける業務については、LinkIcon(派遣先の責務3)派遣受入期間の制限の適切な運用を参照。

派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の明示

 派遣元事業主は、派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対して、その派遣労働者が従事する業務について派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を明示しなければなりません(労働者派遣法第34条第1項第3号)。

 派遣先が派遣受入期間の制限に抵触する日は、派遣労働者にとってもその抵触日が派遣先で就業することのできる上限であるため、抵触日をあらかじめ通知しておくことによって、派遣受入期間の制限の到来によって派遣終了による雇用契約の更新をめぐるトラブルを未然に防ぐことができると考えられます。
 こうしたことから、派遣元事業主に対して、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、期間制限抵触日を派遣労働者に明示する義務が課されています。

 派遣先は、労働者派遣契約の締結後に労働者派遣に係る業務について1年を超える派遣受入期間を定めるとき、又はこれを変更したときは、速やかに、派遣元事業主に対して、その業務について派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を通知しなければならないとされていますが、派遣元事業主は派遣先からその通知を受けたときは、遅滞なく、その派遣労働者に対して、業務について派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を明示しなければなりません(労働者派遣法第34条第2項)。

明示の方法

 就業条件等の明示は、労働者派遣に際して、あらかじめ、明示すべき事項を書面、ファクシミリ、電子メール(ファクシミリ又は電子メールによる方法は、派遣労働者が希望した場合に限ります。)によって、個々の派遣労働者に明示する方法をとる必要があります(則第26条)。

 また、上記※の明示については、派遣先からその通知を受けた後、遅滞なく、明示すべき事項を書面、ファクシミリ、電子メール(ファクシミリ又は電子メールによる方法は、その派遣労働者が希望した場合に限ります。)によって、個々の派遣労働者に明示する方法をとる必要があります。

 ただし、就業条件等の明示については、労働者派遣の実施について緊急の必要があるため、事前に上記のいずれかの方法によることができない場合は、例外的に、明示すべき事項をあらかじめ、上記の方法以外の方法で明示すればよいこととされています。

 なお、上記の方法以外の方法で明示する場合でも、派遣労働者から労働者派遣の開始より前に個別の請求があったとき、又はその請求がなくても労働者派遣の期間が一週間を超えるときは、労働者派遣の開始後、遅滞なく、その明示すべき事項を上記の方法によって、個々の派遣労働者に明示しなければなりません。

明示について

 派遣元事業主は、就業条件等の明示のために、派遣労働者のメールアドレスを取得した場合は、労働者派遣法第24条の3によって、労働者の個人情報の適正な取扱いが求められていますので、注意が必要です。

 また、労働基準法第15条では、労働契約の締結に際して、労働者に対し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。

 そして、労働契約の締結の際と労働者派遣を行おうとする際が一致するような場合(登録型の場合に発生しやすい。)に、就業条件等の明示を書面の交付によって行うときは、明示する事項が一致する範囲内で両方の明示を兼ねても差し支えありません。

違反の場合

 労働者派遣をしようとする場合に、あらかじめ、派遣労働者に就業条件等の明示を行わなかったときは、労働者派遣法第61条第3号に該当しますので、30万円以下の罰金に処せられる場合がああります。

 許可の取消し(労働者派遣法第14条第1項)、事業停止命令(労働者派遣法第14条第2項、労働者派遣法第21条第2項)、改善命令(労働者派遣法第49条第1項)の対象となります。

 また、上記の司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(労働者派遣法第21条第1項)の対象となります。

 就業条件等の明示義務違反は、前述のように、司法、行政処分の対象となりますが、労働者派遣契約自体は有効に成立、存続すると考えられます。

労働者派遣法第38条による準用

 就業条件の明示は、派遣元事業主以外の事業主が労働者派遣をする場合にも行わなければなりません。

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