労働者派遣契約の解除の制限 of 労働者派遣法のポイント

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労働者派遣契約の解除の制限

 労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)は、派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として、労働者派遣契約を解除してはなりません(労働者派遣法第27条)。

解除の禁止

 ここで禁止されるのは、労働者派遣契約について、業として行われる労働者派遣であるとないとにかかわらず、また、労働者派遣契約の一部であるか全部であるかを問わず、これを解除する行為です。

 なお、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)が労働者派遣をする者(派遣元)と合意の上、労働者派遣契約を解除する場合でも、以下の労働者派遣契約の解除が禁止される事由を理由とする限り、その解除は禁止されています。

 労働者派遣法第27条に違反して、労働者派遣契約を解除した場合は、その解除は公序良俗に反するものとして無効となります。したがって、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)がその解除を主張したとしても、労働者派遣をする者(派遣元)は解除の無効を主張して契約の履行を求めることができ、さらに、損害を被った場合には、損害賠償の請求をすることができるとされています。

労働者派遣契約の解除が禁止される事由とは

 「国籍」とは、国民たる資格のことです。

 「信条」とは、特定の宗教的又は政治的信念のことです。

 「社会的身分」とは生来的な地位のことです。

 「労働組合の正当な行為」とは、労働組合法上の労働組合員が行う行為で、労働組合の社会的相当行為として許容されますが、具体的には、団体交渉、正当な争議行為はもちろん、労働組合の会議に出席すること、決議に参加すること、又は組合用務のために出張すること等の行為も含みます。

 これに該当しない行為としては、例えば、政治ストや山猫ストがあります。

 なお、「労働組合の正当な行為」に該当するかどうかは、主として派遣労働者が組合員となっている組合と労働者派遣をする事業主との間の問題として決定することになるでしょう。

 なお、労働者派遣契約の解除が禁止される不当な事由は、労働関係において形成されている公序に反するものであり、その他には人種、門地、女性労働者が婚姻したこと、妊娠したこと、出産したこと、心身障害者であること、労働組合の組合員であること、労働組合に加入したこと、又はこれを結成しようとしたこと、労働者派遣法第40条第1項の規定によって派遣先へ苦情を申し出たこと、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先)が労働者派遣法に違反したことを関係行政機関に申告したこと等も含まれます。

  「理由として」とは、国籍、信条、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等の事由が労働者派遣契約の解除の決定的原因となっていると判断される場合をいいます。

派遣労働者の保護等のための労働者派遣契約の解除等

 労働者派遣をする事業主は、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者が、当該派遣就業に関し、法又は法第3章第4節の規定により適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含みます。)に違反した場合においては、当該労働者派遣を停止し、又は当該労働者派遣契約を解除することができるとされています(法第28条)。

労働者派遣契約の解除の意義

 解除を行うことができるのは、業として行われると否とを問わず、労働者派遣をする事業主で、派遣元事業主以外の事業主であっても労働者派遣をする場合には、当該解除を行えます。

 労働者派遣の停止又は労働者派遣契約の解除は、直ちに行うことができます。労働者派遣契約において解除制限事由又は解除予告期間が定められていたとしてもその定めは無効となると解されています。

 一般に、契約は、解除事由につき別段の定めがあり、また、契約の当事者の合意がある場合を除いて、法定の解除事由である債務不履行がある場合以外一方的に解除することはできず、一方的に解除した場合には、債務不履行で損害賠償の責を負うこととなりますが、この法第28条の規定により、労働者派遣の停止又は労働者派遣契約の解除により労働者派遣の役務の提供を受ける者が損害を被っても、解除又は停止を行った労働者派遣を行う事業主は債務不履行による損害賠償の責を負うことはないとされています。

労働者派遣契約の解除等を行える具体的事由

 労働者派遣の役務の提供を受ける者が次の規定に違反した場合です。
① 法第39条から第42条まで、第45条第10項及び第46条第7項
② 労働基準法、労働安全衛生法、じん肺法及び作業環境測定法の規定であって法第3章第4節の規定により労働者派遣の役務の提供を受ける者に適用される規定

労働者派遣契約の解除の非遡及

 労働者派遣契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じます(法第29条)。

 労働者派遣契約は、労働契約と同様に継続的給付の実施を内容とするものですので、契約の解除がなされた場合にその効果を遡及するとその契約の当事者間に著しい不均衡が生じ、給付の返還を行うことが不可能となるなど適当ではありませんので、労働者派遣契約の解除の意思表示がなされたとき以後についてのみ解除の効果が生ずることとされました。

 なお、この法第29条は、強制法規であり、当事者間において、労働者派遣契約においてこれに反する定めをしても無効となるとされています。

派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置

 短期間の労働者派遣契約の反復更新に伴い、短期間の労働契約を反復更新することは、派遣労働者の雇用が不安定になる面があり、望ましくありませんので、派遣労働者の雇用の安定が図られるように、派遣元事業主及び派遣先は、労働契約及び労働者派遣契約の締結に当たり必要な配慮をするよう努めるとともに、労働者派遣契約の解除に際しては、労働者派遣契約の当事者である派遣元事業主及び派遣先が協議して必要な措置を具体的に定めることとされています。

 また、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たっては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するためのその費用の負担その他の派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならないこととしています(法第26条第1項第8号、法第29条の2ほか)。

派遣先の講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置

労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置

 派遣先は、労働者派遣契約の締結に当たって、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣先は派遣労働者の新たな就業機会の確保を図る必要があります。

 そして、これができないときには、少なくともその労働者派遣契約の解除に伴い、派遣元事業主が労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされることにより生ずる損害である休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の額について損害の賠償を行うことを労働者派遣契約に定めなければなりません。

 また、労働者派遣の期間を定めるに当たっては、派遣元事業主と協力しつつ、派遣先において労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を勘案して可能な限り長く定めるなど、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努める必要があります。

労働者派遣契約の解除の事前の申入れ

 派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもちろん、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行う必要があります。

派遣先における就業機会の確保

 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図る必要があります。

損害賠償等に係る適切な措置

 派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、少なくとも労働者派遣契約の解除に伴い派遣元事業主が労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされたことにより生じた損害の賠償を行わなければなりません。

 例えば、派遣元事業主が派遣労働者を休業させる場合は休業手当に相当する額以上の額について、派遣元事業主がやむを得ない事由により派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより派遣元事業主が解雇の予告をしないときは30日分以上、予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは解雇の日の30日前の日から予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額について、損害賠償を行わなければなりません。

 その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずる必要があります。

 また、派遣元事業主及び派遣先の双方に責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮する必要があります。

 なお、派遣元事業主が派遣労働者を休業させる場合における休業手当に相当する額、又は派遣元事業主がやむを得ない事由により派遣労働者を解雇する場合における解雇予告手当に相当する額(=派遣先による労働者派遣契約の解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより派遣元事業主が解雇の予告をしないときは30日分以上、予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは解雇の日の30日前の日から予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額)については、派遣元事業主に生ずる損害の例示ですので、休業手当及び解雇予告手当以外のものについても、それが派遣先の責に帰すべき事由により派遣元事業主に実際に生じた損害であれば、賠償を行わなければなりません。

労働者派遣契約の解除の理由の明示

 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を派遣元事業主に対し明らかにする必要があります。

派遣元事業主の講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置

労働契約の締結に際して配慮すべき事項

 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、労働者の希望及び労働者派遣契約における労働者派遣の期間を勘案して、労働契約の期間を、労働者派遣契約における労働者派遣の期間と合わせる等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努める必要があります。

労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置

 派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に当たって、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除が行われる場合には、派遣先は派遣労働者の新たな就業機会の確保を図る必要があります。

 そして、これができないときには少なくとも労働者派遣契約の解除に伴って派遣元事業主が労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされることにより生ずる損害である休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の額について損害の賠償を行うことを定めるよう求める必要があります。

労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置

 派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図る必要があります。

 また、派遣元事業主は、労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たす必要があります。

 さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、派遣労働者を解雇しようとするときであっても、労働契約法の規定を遵守することはもとより、派遣労働者に対する解雇予告、解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たす必要があります。

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