労働者派遣契約とは of 労働者派遣法のポイント

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労働者派遣契約とは

 労働者派遣法第26条にある「労働者派遣契約」は、「契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者派遣することを約する契約」です。

 すなわち、当事者の一方(派遣元)が労働者派遣を行うことの意思表示を行い、それに対してもう一方の当事者(派遣先)が同意をすること、又は当事者の一方(派遣先)が労働者派遣を受けることの意思表示を行い、それに対して、もう一方の当事者(派遣元)が同意をすることによって成立する契約です。

 その契約の形式については、文書であるか否か、又有償であるか無償であるかを問いません。

 労働者派遣に関する契約については、恒常的に取引先との間に労働者派遣をすることの基本契約を締結し、実際に労働者派遣をする都度、就業条件などを定めた個別契約を締結するという場合もありますが、この場合は、労働者派遣法第26条の「労働者派遣契約」とは、後者の個別契約をいいます。

 そして、「労働者派遣契約の当事者」とは、労働者派遣を業として行うものであるか否かを問わず、当事者の一方が労働者派遣を行い、相手方がその役務の提供を受ける場合をすべて含み、労働者派遣をする者や労働者派遣の役務の提供を受ける者などのすべてを指します。

労働者派遣契約の内容

 労働者派遣契約の締結にあたっては、次の契約事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければなりません(労働者派遣法第26条第1項)。

 ただし、労働者派遣法で定める契約事項の定めは、労働者派遣を行う場合の必要最低限のもので、それ以外の派遣料金や債務不履行の場合の賠償責任等の定めについては当事者の自由に委ねられています。

契約事項

 労働者派遣契約には、次の事項を定めなければなりません。

① 派遣労働者が従事する業務の内容

 業務の内容は、その業務に必要とされる能力、行う業務等が具体的に記述され、その記載によってその労働者派遣に適格な派遣労働者を派遣元事業主が決定できる程度のものであることが必要ですので、できる限り詳細である必要があります。また、業務については、当然、適用除外業務以外の業務に限ります。

 従事する業務の内容については、できる限り詳細に記載する必要があります。

  • (例)環境関連機器の顧客への販売、折衝、相談及び新規顧客の開拓並びにそれらに付帯する業務

 同一の派遣労働者が複数の業務に従事する場合は、それぞれの業務の内容について記載する必要があります。

② 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他労働者派遣に係る派遣労働者の就業の場所

 派遣労働者が実際に派遣就業する事業所その他の施設の名称、所在地だけではなく、具体的な派遣就業の場所も含まれ、原則として、派遣労働者の所属する部署、電話番号など必要な場合に派遣元事業主がその派遣労働者と連絡がとれる程度の内容である必要があります。

 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行うときは、派遣先の事業所においてその派遣労働者が就業する最小単位の組織を記載する必要があります。

※ 派遣受入期間の制限を受ける業務については、LinkIcon(派遣先の責務3)派遣受入期間の制限の適切な運用を参照。

③ 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項

 派遣労働者を具体的に指揮命令する者の部署、役職及び氏名。

④ 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日

 その労働者派遣契約に基づいて、派遣労働者が労働者派遣される期間や派遣労働者が具体的に派遣就業をする日であり、期間については、具体的な労働者派遣の開始の年月日及び終了の年月日、就業する日については、具体的な曜日又は日を指定する必要があります。

 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行うときは、派遣労働者が労働者派遣される期間は、派遣受入期間の通知によって、通知を受けた日以降とすることは禁止されています。

⑤ 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間

 派遣就業すべき日の派遣労働者の日々の始業、終業の時刻や休憩時間。

 この定めの内容は、労働基準法で定める労働時間、休憩に関する規定に違反しない範囲で、かつ、派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約の枠内でなければなりません。

 「複合業務」である場合(LinkIcon令5条の業務と、それ以外の業務とを併せて行う場合)など、派遣受入期間の制限がない業務と派遣受入期間の制限のある業務とを併せて行う場合で、全体として派遣受入期間の制限を受けない業務として取り扱う場合については、それぞれの業務の通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数又はその割合を記載する必要があります。

⑥ 安全及び衛生に関する事項

 次に掲げる事項のうち、派遣労働者が派遣先で業務を遂行する場合に、派遣労働者の安全や衛生を確保するために必要な事項に関して、就業条件を記載する必要があります。

  1. 派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関する事項(例えば、危険有害業務に従事させる場合には、危険有害業務の内容、業務による危険又は健康障害を防止する措置の内容など)
  2. 健康診断の実施等健康管理に関する事項(例えば、特殊健康診断が必要な業務に就かせる場合には、健康診断の実施に関する事項など)
  3. 換気、採光、照明等作業環境管理に関する事項
  4. 安全衛生教育に関する事項(例えば、派遣元や派遣先で実施する安全衛生教育の内容など)
  5. 免許の取得や技能講習の修了の有無など就業制限に関する事項(例えば、就業制限業務を行わせる場合には、業務を行うための免許や技能講習の種類など)
  6. 安全衛生管理体制に関する事項
  7. その他派遣労働者の安全及び衛生を確保するために必要な事項

⑦ 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項

 派遣元事業主と派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元と派遣先で苦情処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を記載する必要があります。

⑧ 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項

 労働者派遣契約の解除に際して、派遣労働者の雇用の安定を図る観点から、労働者派遣契約の当事者である派遣元事業主と派遣先が協議して、次の事項等に係る必要な措置を具体的に定める必要があります。

(1)労働者派遣契約の解除の事前の申入れ

 派遣先は、専ら派遣先に起因する事由によって、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもちろんのこと、あらかじめ相当の猶予期間をもって、派遣元事業主に解除の申入れを行うこと。

(2)派遣先における就業機会の確保

 派遣元事業主と派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって、労働者派遣契約の解除が行われた場合には、派遣先の関連会社での就業をあっせんするなど、その派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。

(3)損害賠償等に係る適切な措置

 派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由によって労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、労働者派遣契約に損害賠償についての定めがない場合であっても、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。

 また、これができないときには、少なくとも労働者派遣契約の解除に伴って派遣元事業主がその派遣労働者を休業させることなどを余儀なくされたことによって生じた損害の賠償を行わなければならないこと。
 例えば、当該派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は、休業手当に相当する額以上の額について、派遣元事業主がやむを得ない事由によって、その派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことによって、派遣元事業主が解雇の予告をしないときは、30日分以上の賃金に相当する額以上の額を、解雇の予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは、解雇の日の30日前の日から解雇の予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額を、損害賠償を行わなければならないこと。

 派遣先は派遣元事業主と十分に協議をした上で、適切な善後処理方策を講ずること。

 また、派遣元事業主と派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主と派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても、十分に考慮すること。

(4)労働者派遣契約の解除の理由の明示

 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合に、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を派遣元事業主に対して明らかにすること。

⑨ 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合には、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項

 労働者派遣契約がLinkIcon紹介予定派遣に係る場合は、次の紹介予定派遣に関する事項を記載する必要があります。

  • 紹介予定派遣である旨
  • 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される従事すべき業務の内容及び労働条件等
  • 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、それぞれのその理由を、書面の交付する方法、ファックスを送信する方法、電子メールを送信する方法によって、派遣元事業主に対して明示する旨
  • 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇や退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合はその旨

⑩ 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項

 派遣元責任者及び派遣先責任者の役職、氏名及び連絡方法。

⑪ 労働者派遣の役務の提供を受ける者が④の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は⑤の派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合には、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数

 この定めをする場合には、定めの内容が派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約又は派遣元事業場における36協定により定められている内容の範囲内である必要があります。

⑫ 派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項

 派遣元事業主と派遣先との間で、派遣先が派遣労働者に対して、派遣先の労働者が通常利用している診療所、給食施設等の施設の利用、レクリエーション等に関する施設や設備の利用、制服の貸与、教育訓練など派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、その便宜の供与に関する事項についても記載する必要があります。

⑬ 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項

 LinkIcon令5条の業務について労働者派遣を行うときは、併せてその業務のLinkIcon令5条の業務の条番号と号番号を記載する必要があります。

 派遣受入期間の制限を受ける業務の②有期プロジェクトの業務について労働者派遣を行うときは、事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であつて一定の期間内に完了することが予定されている旨を記載する必要があります。

 派遣受入期間の制限を受ける業務の③日数限定業務について労働者派遣を行うときは、次の事項を記載する必要があります。

  1. その業務が一箇月間に行われる日数が、派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、10日以下である業務に該当する旨
  2. 派遣先において1か月間に行われる日数
  3. 派遣先の通常の労働者の1か月間の所定労働日数

 派遣受入期間の制限を受ける業務の④育児休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務と休業の開始、終了予定の日を記載する必要があります。

 派遣受入期間の制限を受ける業務の⑤介護休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務と休業の開始、終了予定の日を記載する必要があります。

派遣労働者の人数の定め

 派遣労働者の人数の定めは、次の方法によって行う必要があります。

(1)前述の契約事項の①から⑫までの就業条件の組合せが1つの場合は、その労働者派遣に係る派遣労
働者の人数

(2)前述の契約事項の①から⑫までの就業条件の組合せが複数の場合は、その組合せごとの派遣労働者
の人数

 ここで、派遣労働者の人数とは、その就業条件の組合せで常時いることになる人数のことです。複数の派遣労働者が交替で行う場合でも、その複数の派遣労働者分の人数ではありません。

 例えば、午前と午後で1人ずつ就業する場合でも、ここでいう派遣労働者の人数は1人となります。

労働者派遣契約の定めに関する留意事項

 前述の①から⑫までの契約事項の内容を一部(④の労働者派遣の期間については必ず変更されます。)変更したり、再度労働者派遣契約を締結したりする場合は、一部変更する以前の契約を指定して、その一部変更事項を定めることで足ります。したがって、再度すべての契約内容の定めを行う必要はありません。

 また、派遣労働者が複数の事業対象業務を兼任して行う旨の労働者派遣契約を定めることは可能です。

労働者派遣契約の締結に際しての手続

労働者派遣契約締結の際の手続

 労働者派遣契約の当事者は、契約の締結に際して、労働者派遣契約の内容を書面に記載しておかなければなりません。

 派遣先は、当該労働者派遣契約の締結にあたって、労働者派遣法第26条第4項の規定によって、派遣元事業主から許可番号又は届出受理番号を書面に記載しておかなければなりません。

 派遣元事業主は、労働者派遣契約を締結する際、派遣先が求める業務の内容、業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準、労働者派遣の期間などの労働者派遣契約の締結に際して定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握する必要があります。

 特に、労働者派遣の期間について、1年を超える期間を定める場合は、派遣先はあらかじめ派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等に対して意見聴取を行う必要があります(労働者派遣法第40条の2第4項)。

 このことから、派遣元事業主は、派遣先に対して、意見聴取が実施されているかを確認してから労働者派遣契約を締結する必要があります。

 派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する予定者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準などの労働者派遣契約の締結に際して定めるべき就業条件の内容を十分に確認する必要があります。

違反の場合

 労働者派遣契約の締結にあたって、所定の事項を定めず又は所用の手続きを行わなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し(労働者派遣法第14条第1項)、事業停止命令(労働者派遣法第14条第2項、労働者派遣法第21条第2項)、改善命令(労働者派遣法第49条第1項)の対象となります。

海外派遣の場合の労働者派遣契約

 派遣元事業主は、海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際しては、労働者派遣契約の内容、労働者派遣契約の締結に際しての手続、LinkIcon派遣契約期間の制限のほか、次の派遣先が講ずべき措置等を定めた事項を書面に記載して、海外派遣に係る役務の提供を受ける者(派遣先)に対して、その定めた事項に係る書面の交付、ファクシミリを利用してする送信、電子メールの送信によって通知しなければなりません(労働者派遣法第26条第3項)。

派遣先の講ずべき措置の定め

 海外派遣の場合には、特に派遣先の講ずべき措置として次に掲げる事項を定めなくてはなりません。

① 派遣先責任者を選任すること。

② 派遣先管理台帳の作成、記載及び通知を行うこと。

③ 派遣労働者に関する労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講ずること。

④ 派遣労働者の派遣先における就業に伴って生ずる苦情等について、派遣元事業主に通知し、その適切かつ迅速な処理を図ること。

⑤ 疾病、負傷等の場合における療養の実施その他派遣労働者の福祉の増進に係る必要な援助を行うこと。

⑥ その他派遣就業が適正に行われるため必要な措置を行うこと。

⑦ 派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知を行うこと。

⑧ 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について継続して1年以上、派遣受入期間以内の期間、労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、引き続き同一の業務に労働者を従事させるため、労働者を雇い入れようとするときの、その派遣労働者の雇用に関する措置

⑨ 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について派遣受入期間を超えて、引き続き当該派遣労働者を使用しようとするときの、その派遣労働者に対する雇用契約の申込みに関する措置

⑩ 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について3年を超える期間、継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、その業務に労働者を雇い入れようとするときのその派遣労働者に対する雇用契約の申込みに関する措置

違反の場合

 海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際して、所定の方法により派遣先の講ずべき措置等を定めなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し(労働者派遣法第14条第1項)、事業停止命令(労働者派遣法第14条第2項、労働者派遣法第21条第2項)、改善命令(労働者派遣法第49条第1項)の対象となります。

派遣元事業主であることの明示

 派遣元事業主は、労働者派遣契約を締結するにあたっては、あらかじめ、その契約の相手方に対して、一般労働者派遣事業の許可を受けていること、又は特定労働者派遣事業の届出書を提出していることを明示しなければなりません(労働者派遣法第26条第4項)。

具体的な明示方法

① 一般労働者派遣事業を行う事業主は、許可証に記載される許可番号により明示すること。
② 特定労働者派遣事業を行う事業主は、届出受理通知書に記載される届出受理番号により明示すること。

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