派遣元の事業報告等 of 労働者派遣法のポイント

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派遣元の事業報告等

定期報告

 派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとのその事業に係る事業報告書(様式第11号及び様式第11号−2)と労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)を事業主管轄労働局を経て、厚生労働大臣に提出しなければなりません(労働者派遣法第23条第1項)。

提出期限

 事業報告書及び収支決算書の提出期限は、それぞれ次のとおりです。

  • 労働者派遣事業報告書(様式第11号)=事業主の事業の毎事業年度経過後1か月以内
  • 労働者派遣事業報告書(様式第11号−2)=毎年6月30日
  • 収支決算書(様式第12号)=事業主の事業の毎事業年度経過後3か月以内

関係派遣先に対する労働者派遣の制限等

 グループ企業内での派遣は、すべてにおいて否定されるものではありませんが、グループ企業内の派遣会社がグループ企業内派遣ばかりを行なうとすれば、派遣会社がグループ企業内の第二人事部的なものと位置づけられていると評価され、労働力需給調整システムとして位置づけられた労働者派遣制度の趣旨に鑑みて適切とは思われません。
 そのため、派遣元事業主が労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が100分の80以下になるようにしなければなりません(労働者派遣法第23条の2)

報告の方法

 派遣元事業主は、関係派遣先派遣割合報告書を作成し、事業主の事業の毎事業年度経過後3か月以内に、事業主管轄労働局を経て、厚生労働大臣に提出しなければなりません(労働者派遣法第23条第3項)。

海外派遣の届出

 海外派遣については、派遣先に対して国内法が適用されず、法の規定のみによっては派遣労働者の適正な就業の確保が困難と考えられるため、派遣元事業主は事前に届出をすることが義務づけられています(労働者派遣法第23条第3項)。

 ここで、海外派遣とは、日本以外の地域に所在する事業などで就業させるための労働者派遣をいいます。したがって、海外の事業所などで指揮命令を受ける派遣労働者を就業させることを目的としている限りは、海外の法人等である場合はもとより、派遣先が日本の法人等の海外支店等で就業させる場合も、これに該当します。

事業所ごとの情報提供

 派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額をその労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合、教育訓練に関する事項など、予め関係者に対して知らせることが適当である事項について情報の提供を行わなければなりません(労働者派遣法第23条第5項)。

情報提供すべき事項

 派遣元事業主が事業所ごとに情報提供すべき事項は、次のとおりです。

  1. 派遣労働者の数
  2. 労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
  3. 労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額をその労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(以下「マージン率」といいます。)
  4. 教育訓練に関する事項
  5. 労働者派遣に関する料金の額の平均額
  6. 派遣労働者の賃金の額の平均額
  7. その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項

情報提供の方法

 情報提供の方法は、事業所への書類の備え付け、インターネットの利用その他の適切な方法によりおこなわなければなりません(則第18条の2第1項)。

違反の場合の効果

 情報提供を行わなかった場合、派遣元事業主は、許可の取り消し(労働者派遣法第14条第1項)、事業停止命令(労働者派遣法第14条第2項、労働者派遣法第21条第2項)、改善命令(労働者派遣法第49条第1項)の対象となります(労働者派遣法第13条の2)。

労働争議に対する不介入

 派遣元事業主は、労働争議に対する中立の立場を維持するために、同盟罷業(ストライキ)や作業所閉鎖(ロックアウト)が行われている事業所に労働者派遣をしてはなりません(労働者派遣法第24条)。ただし、すでに労働者派遣をしている事業所が同盟罷業や作業所閉鎖になった場合を除きます。

 また、労働委員会が公共職業安定所に対して、事業所で同盟罷業や作業所閉鎖になる可能性の高い争議が発生していること、無制限に労働者派遣が行われることによってその争議の解決が妨げられることを通報した場合は、公共職業安定所はその旨を派遣元事業主に通報し、その通報を受けた派遣元事業主は、その事業所に労働者派遣(すでに労働者派遣をしている事業所が同盟罷業や作業所閉鎖になった場合を除きます。)をしてはなりません。
 ただし、その争議の発生前に通常使用されていた労働者の人数を維持するために必要な限度まで労働者派遣をする場合は除かれます(労働者派遣法第24条、職業安定法第20条第2項)。

 ここで、「同盟罷業」とは、労働者が団結して労働力の提供を拒否し、労働力を使用者に利用させない行為をいいます。これには一部スト、部分スト、波状ストなどのストライキ全般が含まれます。

 「作業所閉鎖」とは、労働者に対して作業所を閉鎖して労働者を就業不能の状態におき、労働者の提供する労務の受領を拒否することをいいます。いわゆるロックアウトのことです。

個人情報の保護

 派遣元事業主は、労働者派遣に関して、その業務(紹介予定派遣をする場合における職業紹介を含みます。)の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集、保管及び使用してはなりません(労働者派遣法第24条の3第1項)。その個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければなりません(労働者派遣法第24条の3第2項)。
 また、派遣元事業主とその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上知りえた秘密を他に漏らしてはなりません(労働者派遣法第24条の4)。

 特に、紹介予定派遣をする場合に職業紹介を行う段階では、職業紹介を行う事業主として、個人情報の保護等について、職業安定法などの法律の規定が適用になることに留意し、紹介予定派遣の各段階に応じて、派遣元事業所や職業紹介事業所として、それぞれ必要な個人情報保護措置を講じる必要があります。

個人情報の収集

 派遣元事業主は、派遣労働者となろうとする者を登録する際には、その労働者の希望や能力に応じた就業の機会の確保を図る目的の範囲内で、その労働者の個人情報を収集する必要があります。
 また、派遣元事業主は、派遣労働者として雇用して労働者派遣を行う際には、その派遣労働者の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で、その労働者の個人情報を収集する必要があります。

 派遣元事業主は、次にあげる個人情報を収集してはなりません。ただし、特別な業務上の必要性が存在するなど業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではありません。

  1. 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
  2. 思想及び信条
  3. 労働組合への加入状況

 上記1.から3.に該当するものとして、具体的には、次のような事項があります。
1.について

  • 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除きます。)
  • 容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報

2.について

  • 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書

3.について

  • 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報

 ここで「業務の目的の達成に必要な範囲」については、雇用することを予定する者を登録する段階と、現に雇用する段階では、異なることに留意する必要があります。
 雇用することを予定するものを登録する段階では、例えば、労働者の希望職種、希望勤務地、希望賃金、有する能力・資格など適切な派遣先を選定する上で必要な情報がこれにあたります。
 現に雇用する段階では、給与事務や労働保険・社会保険の手続上必要な情報がこれにあたります。
 当然ながら、労働者の銀行口座の暗証番号を派遣元事業主が確認することは、「業務の目的の達成に必要な範囲」に含まれません。

 そして、派遣元事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集するか、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集するなど適法かつ公正な手段によって行わなければなりません。

個人情報の保管と使用

 個人情報を保管する場合、又は使用しようする場合は、収集目的の範囲に限られます。
 なお、派遣労働者として雇用して労働者派遣を行う際には、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、労働者派遣法第35条の規定によって、派遣先に通知すべき事項のほか、その派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られます。ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合や他の法律に定めのある場合は、この限りではありません。

個人情報の適正管理

 派遣元事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関して、次の措置を適切に講ずるとともに、派遣労働者等からの求めに応じて、その措置の内容を説明しなければなりません。

  1. 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置
  2. 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置
  3. 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置
  4. 収集目的に照らして保管する必要がなくなった(本人からの破棄や削除の要望があった場合を含みます。)個人情報を破棄又は削除するための措置

 派遣元事業主等が、派遣労働者等の秘密に該当する個人情報を知ることができた場合は、その個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないように、厳重な管理をおこなわなければなりません。

 ここで、「個人情報」とは、個人を識別できるあらゆる情報をいいます。このうち「秘密」とは、一般に知られていない事実であって(非公知性)、他人に知られないことについて本人が相当の利益を有すると客観的に認められる事実(要保護性)をいいます。具体的には、本籍地、出身地、支持・加入政党、政治運動歴、借入金額、保証人となっている事実などが秘密にあたると考えられます。

個人情報適正管理規程の作成

 派遣元事業主は、次の事項を含む個人情報適正管理規程を作成するとともに、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければなりません。

  1. 個人情報を取り扱うことができる者の範囲に関する事項
  2. 個人情報を取り扱う者に対する研修等教育訓練に関する事項
  3. 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含みます。)の取扱いに関する事項
  4. 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項

 なお、3.について開示しないこととする個人情報とは、その個人に対する評価に関する情報が考えられます。また、4.について苦情処理の担当者などの取扱責任者を定めることが必要です。

不利益取扱い

 派遣元事業主は、本人が個人情報の開示や訂正の求めをしたことを理由として、その本人に対して不利益な取扱いをしてはなりません。
 ここで、「不利益な取扱い」とは、例えば、以後、派遣就業の機会を与えないことなどをいいます。

個人情報保護法の遵守

 派遣元事業主は、上記のほか、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第2条第3項に規定されている個人情報取扱事業者に該当する場合には、個人情報保護法第4章第1節に規定する義務を遵守しなければなりません。また、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報取扱事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努める必要があります。

秘密を守る義務

 派遣元事業主やその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上知り得た秘密を他に漏らしてはなりません。また、派遣元事業主やその代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様です。
 ここで、「正当な理由がある場合」とは、本人の同意がある場合や他の法益との均衡上許される場合などをいいます。

 また、「秘密」とは、個々の派遣労働者(雇用することを予定する者を含みます。)や派遣先に関する個人情報をいい、私生活に関するものに限りません。職務を執行する機会に知り得た個人情報も含みます。
 「他に」とは、その秘密を知り得た事業所内の使用人その他の従業員以外の者をいいます。

違反の効果

 個人情報の保護に関する規定に違反した場合には、派遣元事業主は、許可取消し(労働者派遣法第14条第1項)、事業停止命令(労働者派遣法第14条第2項、労働者派遣法第21条第2項)、改善命令(労働者派遣法第49条第1項)の対象となります。

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